二十四節気の秋分に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ヤブツルアズキが自生地を席巻しています

2018年9月23日(日)

6時に家を出た時にはまだかすかに雨が残り、地面がぬれていた。自生地に着く頃にはすっかり止んでいたが、その代わりかかなり蒸し 暑くなった。
自生地に着いて最初に目に飛び込んできたのは北側の横堤の ヒガンバナだった。ノリ面をかなりの部分赤く染めて、昨年より増えた感じだ。
自生地北側の横堤
帰りに見た堤防のヒガンバナは悲惨だった。さくら草橋から浦和ゴルフまでの片側の列は全て花をもがれて茎が倒されていた。
花をもがれた列
堤防にヒガンバナを植栽した件については賛否両論がある。でもせっかく咲いた花を無残にももぎ取る行為は断じて許せない。好き嫌い もあるがそんな次元の問題ではない。理屈抜きに許してはいけない所業だ。

秋分の倒伏地を埋めていたのはヤブツル アズキだ。特にB区とD区の公園寄りは黄色い花と大きな3小葉で覆われていた。今までも多かったが、今日は特に目についた。反対に今シーズンはヨシが目立 たない感じがする。
倒伏地に群生するヤブツルアズキ
ヤブツルアズキの葉は互生し長さ3〜10p、幅2〜8pの大きな3小葉をつける。
ヤブツルアズキ
ヤブツルアズキとスジハサミムシモドキ
スジハサミムシモドキがヤブツルアズキに取り付いています
ヤブツルアズキとスジハサミムシモドキ
ヤブツルアズキはマメ科の一年草。よく似たノアズキは多年草だ。葉腋から花序軸を出し先端に2〜3個の花をつける。花は両者とも左右 不同で舟弁や翼弁が左側に偏って付く。10本の雄しべと1本の雌しべを舟弁の中に包みこみ虫が訪れて弁に重みをかけると花粉が先端から押し出される。
土の写真でもスジハサミムシモドキは翼弁の中に潜り込もうとしているが花の蜜や花粉を狙っているのだろう。
スジハサミムシモドキ(クギヌキハサミムシ科クギヌキハサミムシ亜科)は1998年に渡良瀬遊水地で初めて確認され、現在ではアシ原に非常 に多く見られます。元の生息地は台湾以南の帰化昆虫。(渡良瀬協議会)

前節の白露から数を増やしていたツユクサ だが、上下に花を付けているのはナカナカ見られなかった。今回ようやく見られたと思ったらすぐ近くにもう一株あったのは偶然なのだろうが、面白かった。上下に付いた花は普通上の花は雌しべのない雄花だ。
フジバカマも多くの蕾を付け一部花も 咲いていた。これからが爽やかな香りを漂わせる本格的なシーズンだ。
ツユクサ フジバカマにオオハナアブ
上下に花を付けたツユクサ。上の花には雌しべが無い フジバカマにオオハナアブ
ツルフジバカマ
ツルフジバカマは盛りは過ぎても赤紫の花の集団は存在感が大きくて力強い。近くの鴨川土手には5月頃から外来種のナヨクサフジが花 を咲かせるが、きれいで繁殖力が強く毎年規模を拡大している。自生地への侵入が懸念され要注意だ。
ママコノシリヌグイ
ママコノシリヌグイも一部で鮮やかなピンクの蕾や花を付けている。茎に下向きの鋭い刺があり、托葉鞘の上部が葉状に広がるのが ミゾソバ、イシミカワ、サデクサと共通の特徴。
キンミズヒキも鴨川側を主に観察路の両側を彩る。ユウガギクは毎回花の数が増え10月の最盛期に備えている。ノコンギクはまだ花は 無いが多くの蕾を付けている。
ナンバンギセルは前回より数が増え、面白い花を付けている。自生地ではススキの株に寄生している。
ナンバンギセル ノコンギク
ナンバンギセル ノコンギク
ツルマメ ヨモギ
ツルマメ ヨモギ
センニンソウの花はほとんど見られなくなり、種子から花柱が伸び出している姿が多く見られる。ツルマメの花は全く見られなくなった。 今回はヤブマメの花がまだ見られなかった。
駐車場側の外縁にヨモギが多くの花をつけ始めた。ヨモギの春の姿からは全く想像がつかないが、キク科の中では珍しい風媒花なので それなりの大きさや多さが必要なのだろう。

秋分(しゅうぶん):秋分の日が日曜日だったので2週続きの3連休になりサラリーマンには良かったようだ。翌日の24日が中秋の名月だっ たが、日中から曇空で心配したが、雨戸を閉める時に見た空に名月が煌々と輝いていた。本当にラッキーだった。  2018年9月26日作成