二十四節気の大暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

日照不足でも降水量が多く湿地の植物たちは元気でした

2019年7月23日(火)

気象庁の統計によると7月21日までの20日間のさいたま市の合計日照時間は16.4時間で平年の20%、降水量は151oで146%、平均気温は 22.8℃で平年差が-1.8℃だったという。
今日7月23日は大暑で本来なら一番暑い日になる筈で昨年は熊谷で41.1℃の日本記録を更新した。ところが今年は予想最高気温が27℃で 朝から小雨がパラつき10時過ぎに漸く止んだものの所により雷雨で油断できなかった。幸いにもさいたま市は一時青空ものぞき雨にはならなかった。
バアソブ
オニユリ
入ってすぐイヌヌマトラノオが元気のいい花穂を立て、その先では全域で花盛りのオニユリが迎えてくれた。ユウガギクの白い花がアチ コチで見られるようになった。
ドクダミ科のハンゲショウが葉を白くしている。でも葉を全面的に白くするマタタビとは白くする面積が違うようだ。

オニユリは今が花の最盛期で全域で橙赤色に褐色の斑点模様の大きな花を咲かせていた。鬼百合の名の由来は色々あるようだが赤鬼に 見立てた説、大きいユリという意味からとの説が素直のようだ。別名のテンガイユリ(天蓋百合)は下向きに咲く花を天蓋に見立てた名前という。仏像の上など にかざす笠状装飾物、虚無僧などが被る深編笠も天蓋と呼ぶようだ。英語名はTiger lily。
オニユリ シロバナサクラタデ
まさに天蓋百合の別名がピッタリのオニユリ 多くの雄しべが見えるシロバナサクラタデの雄花
シロバナサクラタデが中央付近を中心に全区域で見られ、珍しく多くが花開いていたが、見た限りではすべて雄花のようだった。
ヤマノイモ雌花 ヤマノイモ雄花 コカモメヅル
ヤマノイモ雌花 ヤマノイモ雄花 コカモメヅル
何となく久し振りの感じだったが中央観察路のB区にヤマノイモの雌花があった。ここは雌株なので雄株は何処で見られるか興味があった が、北観察路のD区にあった。自生地では見たことが無いが同じヤマノイモ科のオニドコロの雄花は盛大に多くの花穂を立てる。

南観察路の公園口
自生地ではオギとヨシが大きく伸び出し、所によっては先が見えないほどで、南観察路をはじめ非常に歩き難くなっていた。でもこれは 案外自然保護になっているようで、気のせいか周囲の植物が生き生きと感じられた。
同じ特別天然記念物の春日部市の牛島の藤は樹齢1200余年の老木で根まわり10u、藤棚の面積700uで、庭園の敷地は2ha。大小色違いの 藤や500余年の老松がある。
例年開園期間は4月下旬から5月連休までの約半月間だ。2020年の開園は4月20日から5月6日までという。
この開園期間が終わると踏み固められた根まわりを掘り起こして柔らかくし、酒粕をたっぷり与えて来年に備えるという。
年中無休の田島ヶ原サクラソウ自生地も100周年を前にもう一度原点に返るべく観察路を閉鎖する事も真剣に検討すべき時期に来ている と思う。

バアソブ
ノカンゾウ
今年はバアソブの生り年のようで多くの花をつけている。でも残念なのは蔓を引っ掻き回した跡が見られる事だ。やはり一時閉鎖は必要 なのだろう。
ゴマノハグサ
ニガクサ
ゴマノハグサは茎は4稜があり、やや 硬く直立して90〜150pになる。細長い総状花序も20〜40pになるので、ヒョロヒョロして独り立ちできず、他物に寄りかかってどうやらのびている。絶滅危惧U類(VU)
ニガクサは花の盛りは少し過ぎたようだが、 結構アチコチで見られた。この花は独特の形をしていて面白いが虫もつきやすいようだ。

大暑(たいしょ):今年の関東甲信の梅雨明けは7月29日で平年より8日、昨年より30日遅いとの気象庁の発表だった。それまでは日照不足 だったが、27日の土用の丑の日辺りから猛暑の連続で28日に青葉園に行った時には熱中症一歩手前だった。現在熱中症注意の毎日だ。 2019年8月2日作成