二十四節気の寒露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
さながらユウガギクの里でノコンギクも見られる
2021年10月8日(金)
2021年10月8日の寒露は前日と打って変わって最高気温が30℃まで上がり真夏日になったが、前日は最高気温が24℃くら
いにしか上がらず、夜は震度5度弱の揺れに寝込みを襲われビックリだった。
刈り残されたさいたま東村山線の堤防はセイタカアワダチソウが黄色い花をつけ、ススキの穂、コセンダングサの花やヒ
ッツキムシが盛大に繁茂して定点観測地のバス停のところまで上がるのも大変だった。
観察路の両側はユウガギクが白い花を咲かせて、さながらユウガギクの里のようだった。寒露のこんな光景は7年振りだ。
ユウガギクは地下茎を伸ばして増え、茎はよく分枝する多年草。冠毛は0.25oと短いがAPGVではヨメナ属はシオン属に
統合されている。
アキノノゲシがB区で特に多く、大きくなって以前の倒伏地はアキノノゲシの林に変身していた。
一昨年の台風19号の冠水以来自生地の植生の分布がかなり変わっている。著しいのが姿形も大きいので目立ちやすことも
あるこのアキノノゲシだ。以前は全域にほどよく点在していたと思う。多くの植物たちは一部にあったものがほとよく分散し、色々な個所で見られるよ
うになっている。今は根だけが生きているサクラソウを初めゲンノショウコなどは「オッこんな所にも」と思わぬ所に可愛い花を見つける。レ
モンエゴマも分散して増えている感じだ。この日は中央観察路を入ってすぐスズメウリの花と実を見つけて嬉しかった。逆にウマノスズクサは
無くなってしまったようだ。これは19号よりもジャコウアゲハの幼虫に茎まで食べつくされてしまった事が大きいが。
全身汗びっしょりになるほどの暑さだったがふと見上げた空は将に秋だった。
例年なら霜降の頃に花をつけるノコンギクが半月早く、もう多くの花を咲かせていた。
伊藤佐千夫の「野菊の墓」の野菊はノコンギクと言われるが、小説の中に次のような文章があってまさにノコンギクの特
徴を表現しているようだ。{真に民子は野菊の様な児であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐で優しくて
そうして品格もあった。嫌味とか憎気とかいう所は爪の垢ほどもなかった。どう見ても野菊の風だった」
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総苞片と花床の鱗片に腺毛が密生して粘るコメナモミ |
頭花の柄が上に伸びているのが名の由来のタカアザミ |
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サルトリイバラやユリ科を食草にするルリタテハ |
マメ科の栽培種を主に食草にするウラナミシジミ |
寒露(かんろ):「夜が長くなり、露が冷たく感じられる頃。朝晩の冷え込みはきつくなる」との解説があるが、今年は全
く当たらない。18時頃から暗くはなるが、13日頃ようやく少し寒さが感じられただけで暑さが続く。これも地球温暖化現象の一つだろう。 2021年10月13日作成