二十四節気の清明に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

昨年は行けなかった補完地は元気でした

2022年4月5日(火)

2022年4月5日の清明は午前中どんよりした天候だったが、昼頃からは青空が広がり暑いくらいの太陽光が降ってきた。
昨年は流入堤工事のため行けなかった補完地はサクラソウやヒキノカサなどが生き生きと花開いていた。
補完地の花
補完地はアチコチに広い水たまりが残っていて周囲の柵は水浸しの所が多かった。
直線的に伸びているのはヨシの幼芽だ。ここはノウルシが無い代わりにまだ葉は付けていないヨシの幼芽(茎)が多く見られる。
周回路より俯瞰した補完地
右は上の方の周回路から俯瞰した補完地の全景。緑色の部分がサクラソウが群生している所で、土色の所や光って見える所 は水溜りだ。

桜草公園の桜は今が満開だ。さくらそう水門をバックにした桜の花は本当に見事だった。
さくらそう水門と桜
14時頃の自生地は前日が嘘のように水溜りが無かった。観察路は本当に乾き切っていたようだ。
4日15時19分
写真は4日の15時19分に撮影した水浸しの観察路。
4日の立入禁止
前日の4日は2日続きの雨。しかも昼過ぎからはかなり強くなってきた。始末が悪い事にこの雨は5日の未明に止むという。
サクラソウ自生地を守る会の活動は朝は10時からだ。朝早い見物客は8時頃から来場するので、2時間は水浸しのままの観察 路に入られて荒らされてしまう。
考え始めたら不安ばかりになり、立入禁止の表示を作ってバスで自生地に向かった。
予想通り観察路は水浸しだった。ひどい所は小川のようだった。用意した立入禁止の紙を中央観察路の入り口と、北、南観 察路の公園側の入口の3ヶ所の三角コーンに貼り付けてきた。
途中突風にあおられ、ビニール傘が使い物にならなくなったりしたが、どうやら目的は果たせた。

今年はサクラソウの花を訪花するハチが多く見られた。
一時はハチもチョウも殆ど見られず、サクラソウはもっぱら根によるクローン繁殖しかできていないのではないかと思われ ていた。
ヒゲナガハナバチ
それが2019年の台風19号以来、2020年の春頃からハチが結構見られるようになって、今年はサクラソウの群落にも見られる ようになった。
10日にはシロバナサクラソウを撮ってその近くのサクラソウを撮った写真に吸蜜するハチが写っていた。意識せずに撮った 写真に写っていて大感激だった。
12日には新開小学校を案内している時に生徒からサクラソウにハチが来ているのを知らされ嬉しかった。
吸蜜
左は第2自生地で見つけた吸蜜中のヒゲナガハナバチ。顎にあたる部分が白く写る事が多い。
ミツバチ

長い口吻




13日には補完地でサクラソウの花に飛んで来たハチは長い口吻が見事に写っていた。
そして口吻にはサクラソウの花粉らしきが写っていて大興奮だった。
今までサクラソウのポリネーターはトラマルハナバチの女王に限るような知識しかなかった。それがヒゲナガハナバチも 口吻が長く十分サクラソウのポリネーターになりうることが写真で証明された。
今、荒川河川敷で大繁茂しているナヨクサフジの花筒も長いがこの花にヒゲナガハナバチが来ている。ナヨクサフジの急速 な増殖に合わせてヒゲナガハナバチも増えてきたに違いない。
2年前にはさくら草橋から見下ろした鴨川の堤防や河川敷が一面の紫に染まっていたが、その余波で早い時期に羽化 したヒゲナガハナバチはサクラソウのポリネーターとなったのだろう。
ヒゲナガハナバチはニッポンとシロスジの2種類あるようだが、どちらなのか、そして生態ももう少し詳しく調べてみよう と思う。

清明(せいめい):清明とは万物が清らかで生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を略した季語という。まさに その通りで、サクラソウ自生地にも春の爽やかさがいっぱいだ。  2022年4月23日作成