二十四節気の芒種に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ノカラマツが雌しべと雄しべだけの花を咲かせています

2023年6月6日(火)

2023年の芒種は雲の多い空模様だったが雨の心配はなかった。東海地方まではもう梅雨入りしたが関東甲信は6月8日に梅雨入りした模様との発表があった。
ノカラマツ
自生地ではノカラマツが花らしくない花を咲かせていた。
ノカラマツ(野唐松)はキンポウゲ科の多年草で地中を横に這う黄色い走出枝で繁殖する。6月ごろ茎の先に大きい円錐花序をだし淡黄色の花を群がってつける。がく片は4で早落性、花弁はない。雌しべは広卵形の子房に付き、雄しべは輪状に多数つく。 絶滅危惧U類(VU)
ノカラマツ
普通に見ているとオギの合間や無い所には淡黄色の世界が広がっているが、よく見ると、ノカラマツはいわゆる花弁と萼は無くて、下の写真のような雌しべと雄しべだけの花が群がって付いているだけです。でも花粉は多いようで写真でもコアオハナムグリが来ていますが、花粉団子をつけたミツバチの姿もよく見られます。
ノカラマツ雌しべと雄しべ ノカラマツ萼も見える
メシベ4,雄しべ多数の花、萼はもうありません この花は白い萼が4個残っているようです

2023年6月6日の芒種にいつものように中央観察路から自生地に入ろうとしてビックリ。少し先から観察路が水没していた。考えてみれば3日の午前中まで雨で線状降水帯が発生したとかで越谷ではかなり被害があったと報じられていた。
中央観察路
仕方なしにいつも水没からは免れる南観察路から自生地に入った。ここも中央付近は水没していてがかろうじて鴨川側に出た。鴨川沿いの通路は水の心配はなく、北観察路はハンノキから中の方が水没していた。
ノジトラノオ
オカトラノオ属の白い大きな花穂も多く見られたが、ほとんどが交雑種のイヌヌマトラノオのようで、絶滅危惧種のノジトラノオらしきは見られなかった。これから本格的なシーズンに入って見られるようになることを期待しよう。
その他、あまり歓迎できないヤブジラミが花盛りでアチコチで群生していた。美味しい山菜と言われるシオデのアスパラに似た穂先や若いクララの茎葉、バアソブの新鮮な若い蔓なども多く見られた。
シオデ クマツヅラ
アスパラによく似たシオデの穂先 クマツヅラの小さな花

ビッグニュース:田島ヶ原サクラソウ自生が「未来に残したい草原の里100選」に選出さる

埼玉県では唯一ノミネート

ノカラマツ
現在荒川河川敷特にさいたま市の左岸はセイバンモロコシ、アレチウリ、オオブタクサ、セイタカアワダチソウ等の外来種天国で在来種はどんどん追いやられている。
そんな中で田島ヶ原サクラソウ自生地は貴重な在来種の宝庫だ。サクラソウをはじめアマナやチョウジソウなどは勿論、夏や秋にもノカラマツ、オカトラノオ属、ノカンゾウ、フジバカマなど貴重な在来種が一年を通して生育している。
在来種の宝庫、いわゆる草原の里だ。
この機会により大きく自生地の良さを見直し、地元の人たちに愛される自生地であるよう皆で後押ししようではありませんか。

芒種(ぼうしゅ):七十二候は螳螂生ずでカマキリが生まれる頃ですが、トンボの初見もこの頃のようです。8日に桜環境センターでオオシオカラトンボ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボに出会ったのはまさに今年の初見でした。  2023年6月10日作成