二十四節気の立春に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

荒木田土の灰褐色が多く目に着いた立春でした

2024年2月4日(日)

2024年の立春の朝は雨模様で明けた。まもなく止んで、午後からは晴れる予報だった。11時過ぎの桜草公園は寒さにも関わらず車の撮影で駐車場スペースは若者でにぎわっていた。
長くまとまった雨が降らなかったからだろうか自生地は全体的に何となく白っぽく感じられ、砂地のような印象を受けた。
C区

田島ヶ原サクラソウ自生地の土壌は昔の荒川が氾濫し流域に堆積した荒木田土で、壁土や焼き物素材として重宝されてきたいう。
右はC区の写真。中の方は焼いたものの、周囲は囲柵保護のために枯草が残っている
戦後一時壁土にするために持ち去られた事もある荒木田土は田んぼの耕土下や河川敷などの下層でみられる粘土質の土壌で色は灰色または灰褐色という。土質としては腐植質が少なくよく粘るといわれ、土壌学的には沖積土と呼ばれているようだ。

ツルボ
草焼きのヨシなどの焦げた茎と緑の葉の塊、円内はツルボと思われる塊のup、ノビルとの区別が難しい
自生地の各所に単子葉植物が固まりを造っている。オギは株にはならないし何だろうと不思議に思った。写真を見ながらふと思いついた。以前はユリ科だったがAPG分類でキジカクシ科に変更されたツルボではないだろうか?
ツルボ"
ツルボは春早くから株を作り葉を茂らせるが、初夏の頃にはいつの間にか消えてしまい、秋に再び芽を出してきれいな花を咲かせる。
右は2012年10月17日に荒川河川敷で撮影。10月中旬なのでそろそろ終わりに近い。
ツルボとはキジカクシ科ツルボ属の多年草で、山野から草地また海岸部の岸壁などさまざまな日当たりの良い場所に育成するという。春には葉を茂らせ夏になると葉を枯らせて球根の状態で休眠する特徴があり、秋になるとまた葉を出し薄いピンクの小さい花を穂状に咲かせ群生する。
桜の木伐採
第2次指定地の公園との境の3本の桜の木が伐採されていた。
最初は何なのだろうと思ったが、12月の定例市議会での久保議員の一般質問の成果と気が付いた。
「桜草公園の桜の木は伐採すべきとの専門家の判断がされているのに、そのままにされて、自生地への悪影響が心配されるので至急に実施して欲しい」との要請に応えた結果だった。
この12月の定例市議会で久保議員はサクラソウ自生地を「再生させるクラウドファンディング」の実施状況について」も質問されたが、竹居教育長の答弁は下記の3点の当たり障りのないものだった。
1.洪水時の水の流れや効果的な排水方法を指定観測調査
2.土壌内の栄養を堆積にするための分析調査
3.環境条件改善のためのサクラソウのDNA調査
このクラウドファンディングの再生させるという事は何かを造るとか、修復するとかという事とは根本的に異なるという事をまるで認識していない。再生させるという事は長い年月がかかる。そしていずれの方策も複合的相乗的に絡み合って効果を発揮するものだ。まず、支援者に対する経過報告をキチットする体制を作らねばならない。しっかりした組織を作るのが何より大切なプロジェクトなのにその一歩も踏みださず右往左往しているようなのはまったく情けない。

フキノトウ
フキノトウはもう顔を出している筈だと思い探したら、あった。きれいなのが一株見つかった。

春一番に咲くアマナやノウルシ、キンミズヒキ、ノカンゾウ、などの芽生えがみられた。補完地はきれいに除草されていたがまだほとんど何の芽生えもないようだ。

新開小学校は2月7日に4年生の芽分けの予定だが、雨や雪をよけるためにブルーのシートをかぶせて準備万端のようだった。でも、5日18時現在雪が深々と降っていて積もりそうな勢いだ。いつまで降り続いてどのくらい積もるのかチョット心配だ
新開小学校サクラソウ

何回でも書くが「田島ヶ原サクラソウ自生地を再生させたい」クラウドファンディングは総額732万1千円の支援金になり、のべ支援人数は144人まで積み上がった。
多くの人たちが田島ヶ原サクラソウ自生地の再生に協力いただけるのは本当に嬉しい事で、感謝感謝だ!
でも、この再生させたいファンディングは他の何かを造るとか何かを修復するとかの、目に見えるものへの支援ではない。
色々な要素が複雑に絡み合って相乗効果を発揮し、しかも短期的に効果が出るものではなく、再生できるまでにはかなりの年月を要する。
重要なのはサクラソウが55万株まで減少した原因は何なのか。何が再生させるクラウドファンディングをしなければならなくなったのか、色々な原因はあるが大きいのは役所の縦割り行政だ。サクラソウ自生地、桜草公園、そして周囲の堤防とそれぞれ管轄が違う。笑い話にもならない事が山積みだ。これを機にお互いの垣根が取り払われたら自生地はきっと再生できる。みんなでクラウドファンディングの使い道を考えればいい。

立春(りっしゅん): 春夏秋冬の季節ごとに始まりの節気があるのを4立(しりゅう)という事を知った。二十四節気の初めの節気だがレポートを書き始めたのは2010年なので今年で15回目になった。 2024年2月23日作成