田島ヶ原サクラソウの現況と問題点
サクラソウの生育状況の推移
2024年の株数調査ではサクラソウの株数は55.1万株で、開花率は15.7%です。いずれも前年とほぼ同じでナカナカ増加に転じません。
このところ特に補完地のサクラソウが素晴らしく、訪花昆虫も多く見られたので自生地もと期待していますが残念な調査結果でした。
サクラソウ自生地は適度に人の手が加わることによって維持されていく里地・草原です。2023年には田島ヶ原サクラソウ自生地が「未来に残したい草原の里100選」に選定されました。
これはサクラソウばかりにスポットがあてられている田島ヶ原が在来種の宝庫として広く存在価値が認められる絶好のチャンスです。
荒川河川敷がセイバンモロコシ、オオブタクサ、アレチウリ、セイタカアワダチソウなどの外来種に席巻されて在来種が追いやられている現状では在来種の宝庫としての田島ヶ原サクラソウ自生地は貴重な存在です。
でもサクラソウが田島ヶ原のシンボルなのは確かです。是非とも増やすよう自分のできることで応援していきましょう。
※生育状況表及びグラフはさいたま市教育委員会資料より
田島ヶ原サクラソウ自生地の主な問題点
コアゾーンとバッファゾーンは同一指揮下にあるのが当然です
サクラソウ自生地は桜草公園の中にあります。
問題なのはサクラソウ自生地はさいたま市教育委員会、桜草公園はさいたま市都市局の指揮下にある事です。
指揮系統が全く別な上にお役所の縦割り行政が絡みます。
サクラソウ自生地は湿地を好む植物の生育地なのに桜草公園は公園を快適にご利用頂くには乾燥化が大切
です。
そして現場段階では事務所は桜草公園の専用事務所で、物置も同じ、一部を道具置き場として間借りしているだけです。立て看板も公園敷地には一切立てられません。
いずれにしてもこの問題はそう簡単に解決できそうもありませんが、とにかくコアゾーン(サクラソウ自生地)とバッファゾーン(桜草公園)が別々の指揮下に置かれている現状は早急に改めるべきです。
2000年には浦和市教育委員会からその基本理念とサクラソウ自生地を中心とした全体のゾーニングへの提案がなされています。提案されてから25年の歳月が流れようとしていますが、何の変化も兆候すらもありません。
ノウルシの増殖や乾燥化の問題
ノウルシの増殖は深刻で、サクラソウが花を咲かせる時期には一面黄緑色の世界が広がり、その中にピンクが
点在している有様でノウルシ園の様相を呈しています。近年はノカラマツもかなり多くなり、サクラソウは年々その生育場所を奪われています。
周囲の環境変化による乾燥化は最大の問題です。自生地と補完地のサクラソウは明らかに勢いも大きさも
違います。補完地は明らかに水湿地です。
田島ケ原サクラソウ自生地の存亡は市民の双肩にかかっています
上記の問題解決には当然の事ながら自生地、桜草公園の一体化が不可欠です。
世界遺産はコアゾーンを守るために周囲のバッファゾーン(緩衝地帯)を広く取って保護しています。
特別天然記念物の田島ヶ原サクラソウ自生地も私達さいたま市民の手で強力なバッファゾーンを作っていきましょう。
2024(令和6)年10月26日改訂