サクラソウ(桜草) サクラソウ科サクラソウ属
学名:Primura sieboldii E.Morren
学名は万国共通の植物名です。リンネが提唱した2命名法は属名+種小名+命名者で構成されラテン語を基本と
しています。
サクラソウの種小名sieboldiiは19世紀に長崎に医者として来日したシーボルトの事で、日本に来た事もあるモー
レンが敬意を表して献名したものです。
環境省レッドリスト:準絶滅危惧(NT)
準絶滅危惧(NT)とは現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可
能性のある種。
07年以前は絶滅危惧II類(VU)だったが、各地で保護活動が進んでいる事を受けて準絶滅危惧に移行しました。
花言葉:若い時代の苦悩・悲しみ
春まだ浅い早春に他に先駆けて花をつけるサクラソウは遅霜の被害にあったり、寒さで花粉を運んでくれる昆
虫が少ないなど障害が多く、悩み多い青春との共通性があるからでしょうか。
埼玉県の県花でさいたま市の花そして桜区の花
県花で市花でそして区の花は他に類がないのでは?
北海道、本州、九州の川岸や山麓の湿地に生える多年草、全体に縮れた毛が多く葉はすべて根際に付きます。
花の形がサクラに似るのが名前の由来ですが、サクラは花びらが一枚一枚散る離弁花でサクラソウは花の下の部分が筒にな
った合弁花という大きな違いがあります。
サクラソウだけでなくプリムラ属の花は2型柱花といわれ面白い繁殖システムをもっています。進化論で有名
なダーウィンが雌しべの長い長花柱(型)花と短い短花柱(型)花の組み合わせだけが正常な種子繁殖をする事を証明しました。
花の中心(目)からピンの頭の様な雌しべの柱頭が見えるのが長花柱(型)花(ピンの目)、絡まった糸くずの
ような葯が見えるのが短花柱(型)花(スラムの目)です。ぜひ観察してみて下さい。
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(ピンの目) 長花柱(型)花 |
短花柱(型)花 (スラムの目) |
柱頭(ちゅうとう):花粉を受ける雌しべの先。花柱(かちゅう):その下の子房につながる部分。
葯(やく):花粉の入った雄しべの袋。花糸(かし):葯を支える下の部分。
短花柱(型)花の花粉は吸蜜に来たハチの舌の根元の方に付き、長花柱(型)花を訪れた時に同じ高さにある柱頭に
花粉を渡します(上の緑色の線)。同じように長花柱(型)花の花粉は舌の先の方に付くので、同じ高さにある短花柱(型)花の柱頭に花
粉を運びます(下の緑色の線)。
同花柱間では結実しないといわれますが、雌しべと雄しべが同じ高さの等花柱(型)花では自家受粉がおこなわ
れ結実率は高いようです。等花柱(型)花は確率的には1%とも15%とも言われますが、自分の花粉で種子を作るのはクローン繁殖と
同じで色々な障害が出易く好ましい事ではありません。
稀に下記のような目もあります。よく見ると興味は尽きません。
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目から飛び出している柱頭 |
葯がまだ硬いのでしょうか |
何も見えない等花柱花? |
平成26(2014)年4月4日現在