二十四節気の夏至に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
自生地のオカトラノオ属を3種に大別してみました
2010年6月21日(月)
夏至の今日、さいたま市の日の出は4時25分、日の入りは19時という。
まだ明るさの残った19時頃帰宅したらすぐに「外がすごく明るくて赤く見える。夕焼けにしては・・・」
と女房が半分不安そうに言う。家に入るまではごく普通の黄昏時だったので、半信半疑で外を見るとなるほど明るく赤く染まっ
て見える。
沈む間際、一瞬の間太陽が雲間からのぞいたらしく、一番長い日の大団円を祝福するような明るく華やい
だ光景が展開したが、ユートピアはすぐにいつもの夕景に戻った。
ノジトラノオらしきの一茎を選び詳細に観察してみた。草丈や葉の大きさはノジト
ラノもどきと殆ど差はない。この個体は草丈約108cm、葉は長さ7〜10p、幅1.3〜2.8cmだった。明らかに違うのは葉にも微毛が
密生し、茎には下部ほど毛がある事と花冠裂片が細長い事だった。裂片の長さは8oくらいで細長い裂片が見分けの一
番のポイントだ。
自生地には11時頃着いた。昼ごろから晴れる予報だったが、一面の雲が少しづつ切れ出し薄日がのぞき始
めた。仕方なしにあまり好きでは無い帽子をかぶり、両側がはるか背丈以上に高くなった観察路に入った。
昨日は土屋で見たヌマトラノオもどきの花を小さく感じて確認の為自生地に寄ってみた。するとあまり変
わらず感覚の曖昧さを痛感したので、今日は同じ所に生えているノジトラノオもどきとヌマトラノオもどきを比較してみた。
写真左側がノジトラノオもどきでヌマトラノオもどきの中に1本だけ生えていた。
葉の色が濃緑色で花穂が下を向き他とは異なるので区別できる。右側は全てヌマトラノオもどきで葉が小さく若草色で花穂はあ
まり垂れない。
花は同じような大きさで、形も同じように見えた。でもこうして2つを並列にして見ると裂片の
形が微妙に違う。ノジトラノオもどきの方がスマートな披針形で、ヌマトラノオもどきはふくらみがある。そして花
冠全体も大きく見える。
左はノジトラノオもどきで花つきが密。花径は1〜1.2p、裂片の長さは約0.5cm。右はヌマトラ
ノオもどきの花穂で少し花つきが疎ら。花径は約0.9cm、裂片の幅は3mmくらいあり少しふくらみがある。
葉の大きさは長さ幅ともに明らかに違い、ノジトラノオもどきは長さ約7p、最大幅
1.5cmで色も濃緑色。ヌマトラノオもどきの葉は長さ5〜6cmで、幅は8oくらい。色も若草色でハッキリと異なっている。草丈は
両者とも70c〜110cm。
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ノジトラノオもどきの葉の両面 |
ヌマトラノオもどきの葉の両面 |
5月17日頃から穂を出し始めた
クララは6
月5日頃には明らかな蕾を持ち、9日は蝶形花冠をつけていた。夏至の今日は花は大半が終り、何も無さそうに見えたが何と長い
豆果がたくさんぶら下がっていた。そうだクララはマメ科で豆果をつけるんだったと思いだした。
ウマノスズクサは去年は5月27日
頃には蕾が見られたのに今年は6月12日になってようやく蕾がついて2週間くらい遅かったが褐色の口が開いた花は20日には見ら
れ、4日位遅かっただけだった。
ウマノスズクサの向かいにある
トモエソウ
は今年はかなり株数が増えたが蕾や花が付いたのは殆ど前年と変わらず、20日には鮮やかな黄色の大きな花を咲かせていた。
オトギリソウは去年花が見られたのが7月に入ってからだったし、花期が7〜9月と遅いようだ。
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長いクララの豆果。円内は花から伸び出した様子 |
大輪で鮮やかな黄色のトモエソウ |
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夏に咲く総苞が粘るノアザミ |
自生地で勢力を伸ばすノカラマツ(キンポウゲ科) |
現在は蔓植物の競演で色々な蔓が伸びている。その中でも優勢に見えるのは
ヒルガオで薄いピンクの大輪をアチコチでつけ始めた。
蔓植物は自生地で優勢なオギの葉を巻いて上に伸びているのが多い。よく見ると1種類では無く色々な蔓
植物がお互いに絡まっている。蔓で巻き付くもの、巻きひげを伸ばして上を目指すものと様々だが、この頃はヤブガラシの紫褐
色のツルも登場して将に多士済々だ。
クサフジも赤紫の小さな蝶形花をいっ
ぱいに付けた花穂を立て
ヤブジラミの白や
ノカラマツの黄色に対抗
している。シオデは相変わらず托葉の変形の巻きひげを長く伸ばしているが、変わった雌雄の花もつけ始めている。
ノジトラノオの特徴と言われる茎に毛があり裂片の細い個体を
ノジトラノオらしき、ノジトラノオに似て茎に毛が無い自生地で一番多い個体を
ノジトラノオもどき、ヌマトラノオに似て花つきが比較的疎らな個体を
ヌマトラノオもどきと仮称しています。
夏至(げし):6月21日頃。一年で日中が一番長い日。実に14時間35分が昼間で、夜は9時間25分。梅雨のシー
ズンで、夕焼けはあまり見られないが、時に雲間からのぞいた落日は幻想的な夕景を醸す。