二十四節気の小寒に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
ノダイオウのロゼットがテープで囲われていました
2013年1月5日(土)
今日のさいたま市の最低気温は−1.2℃で、9時前の自生地の寒さは厳しいものの、陽光が明るく無風の穏やかな朝
だった。
1月16日予定の今年で6回目の草焼きは風物詩としても定着し始めているが、延焼防止に備えた観察路周辺の草刈は
まだ行われていなかった。
でもノダイオウのロゼットだけは作業の踏み付けを避けるために黄色いテープで囲われていた。
ノダイオウは2012年の環境省のレッドリストの見直しで絶滅危惧U類(VU)に引き上げられている。
埼玉RDB2011でも絶滅危惧TA類に引き上げられ、特記事項には現在確実な生育記録はここのみと記されている。
オギやヨシはますます枯れて特別天然記念物の石碑は全体が見えるようになり、観察路の左右の見通しもよくなり、
自生地全体が明るい感じになった。
左上は直径約1pのスズメウリの果実。黒く見えるのは熟して白く半透明になった表面が萎み、中の黒褐色の多数
の種子が透けて見えるため。右上は直径約5oのヘクソカズラの核果、2つの核に種子を1つづつ入れる。
つる植物もほとんどが葉を落とし、ツルマメやヤブツルアズキの殻がますます目立ち、スズメウリは中の種子が透
けて見えるようになり、ヘクソカズラ、カラスウリの実なども見られるようになった。
鴨川べりではほとんどの草が地上部を枯らしている中でヒガンバナが濃緑色の葉をいっぱいに広げて大きな株を作り
太陽光を独り占めしている。
ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)の別名があるようにこの葉は夏には枯れて、お彼岸の頃に突如花茎だけを伸ばして
多くの花を咲かせる。
木の下に細い葉をたくさんつけているのがヒガンバナ。先の薄い緑色は晩秋に花を咲かせ赤い実をたわわにつける
ナス科のクコ。
ブナ科のクヌギの6oくらいの冬芽が多く見られる。20〜30の多くの牙鱗に覆われ寒さに耐えているようだが、
本年枝には灰白色の短毛が生え、翌年には消えるという。
カバノキ科のハンノキは花序をつけているのとないのと極端だ。花が咲くのはもう少し先だが、赤みを帯びてきた
雄花序をを見上げているとオオカマキリの卵鞘が目に入った。
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自生地に多いクヌギはたくさんの冬芽をつける |
ハンノキに付いたオオカマキリの卵鞘 |
何故か今日はオオカマキリの卵鞘が多く目についたが、春には1つの卵鞘から200〜300匹もの幼虫が生まれるという。
カナムグラの花後の苞が黒褐色に変色して多数残り、縁に密生する短毛が光っていた。中には長さ5oの扁円形の
痩果が残っているものもあった。
ユウガギクは痩果を飛ばし終わったのが多いが、中にはまだ残っているものなども見られた。
種子散布後に拡がって残ったフジバカマの総苞片が逆光にキラキラ輝いていた。花時には10個の総苞片が2〜3列に
つくという。
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痩果も見えるカナムグラ |
痩果を半分飛ばしたユウガギク |
逆光に光るフジバカマの総苞片 |
小寒(しょうかん):1月5日頃、小寒は寒の入りで、節分(今年は2月3日)までが寒の内で一年で最も寒さが厳しい時
期。
第六十七候 芹乃(すなわ)ち栄う。芹の芽が早くも伸び始める。第六十八候 冷泉(しみず)あたたかさを含む。第六十九候
雉始めて鳴く。