二十四節気の芒種に見る自生地

ノジトラノオが花穂を付け、蔓植物が伸長中です

2010年6月6日(日)

自生地
一面の青空の下、荒川堤防を土屋地区まで行って、自生地に着いたのは8時30分頃だった。
特別天然記念物の碑の頭がほん少し見えるだけくらいまでオギが伸びていた。
左の写真はクリックすると5月21日の特別天然記念物碑の周囲の写真が表示されます
観察路の縁側にはネズミムギ、スズメノカタビラ、イチゴツナギなどのイネ科の植物がたくさんの白い葯 を吊り下げている。稲作が1ヶ月くらい早くなった現代の芒種はノギのある植物の花の盛りになっているようだ。

オカトラノオ属が蕾をつけた花穂をアチコチで伸ばし始め、ユリ科の シオデやキンポウゲ科の センニンソウが競うように面白い形の蔓先を伸ばしている。 シオデは大きく伸ばした巻きひげで他物に絡みつきセンニンソウは長い葉柄で絡みつく。
キンポウゲ科のノカラマツが季節到 来とばかりに全域でたくさんの蕾をつけている。
シオデ
センニンソウ
左はシオデの蔓先で針金のような巻きひげが見え、右のセンニンソウは長い葉柄が見える
ハナムグラ ノカラマツ ネズミムギ
ハナムグラ ノカラマツ ネズミムギ

シオデ
シオデの葉を展開する前の若芽は味も姿もアスパラガスに似た山菜の絶品と云われる。その穂の形に似た 若芽を見つけた。密集したキンミズヒキの葉の間からひょろっと茎を伸ばしていた。どう変化していくのか観察する事にした。
6月6日のシオデの若芽。形もアスパラによく似ています。これが横長の写真のようになっていく過程を楽 しみにしていたのに・・・
7、8日と巻きひげが少し伸びたくらいであまり変化が無く、9日は今日こそはと楽しみに見に行ったら無残にも斬首されていた。 見た限りでも4ヶ所でやられており確信犯の仕業で怒り心頭だ。

ノジトラノオもどき
昨年は自生地のノジトラノオらしきにノジトラノオの 特徴と云われる茎に毛が無い事にビックリした。もっとも08年までは何故かオカトラノオと勘違いしていたのだから何をか 言わんやだ。
去年は色々調べてオカトラノオとヌマトラノオの雑 種と云われるイヌヌマトラノオも知ったが、その特徴がハッキリせず、結局タジマトラノオの仮称を拝借する事になった。
今年も自生地のアチコチで蕾を持ち始め、早いのは花をつけている。あまり名前にこだわる必要はなく、形態だけでは種は同定 できないだろうが、できるだけ実態を見極めたい。
今咲き始めているのは毛のないノジトラノオもどきだ。やはりこれが一番多い。そして葉の様子などから この毛なしにも2種類がありそうだ。オカトラノオの葉に形が似ていて少し小さめのものがあるが、生長の一段階かも知れないの でよく見ていきたい。
また、毛のあるノジトラノオらしきも多くが蕾を持ち意外と株数が多そうだ。これは葉にも細毛が密生し ている感じで、9日に花をつけたのを見ると花冠裂片が細長かった。
去年たまたま行った自然教育園にイヌヌマトラノオが咲いていたが、7月15日と少し時期的に遅く、学芸員の方には電話でしかお 話を聞けなかった。今年は6月中に行ってよく観察しお会いして直接話をお聞きしようと思う。
典型的なノジトラノオもどき 葉がオカトラノオに似るノジトラノオもどき
一番株数の多い典型的なノジトラノオもどき 葉がオカトラノオに似るノジトラノオもどき
毛のあるノジトラノオ 毛のあるノジトラノオ
毛のあるノジトラノオらしき 毛のあるノジトラノオらしき

芒種(ぼうしゅ):6月5日頃で今年は6日。ノギ(芒、禾)のある穀物の種まきの時期と云われるが田植えは1ヶ 月くらい早まり、現代では芒のある植物が花粉を盛んに飛ばす時期となっている。